【墜落制止用器具(安全帯)】作業に用いる設備の種類

作業に用いる設備の種類

墜落制止用器具は単独で使用しても効果を発揮することができません。必ず墜落制止用器具を構造物などに取り付けて使用します。しかし、作業をする場所によっては墜落制止用器具を取り付ける場所が無いかもしれません。そんな時に活躍するのが親綱や安全ブロックなどの設備です。

この記事では墜落制止用器具を使用して行う作業で使用頻度の多い設備について解説していきます。紹介する設備は正しい使い方を知っておかなければ効果がありません。間違った使い方をするとかえって危険な目に遭う可能性もあるのでしっかり覚えておきましょう。

 

1.親綱

親綱とは建設現場などで高所作業を行う際に墜落制止用器具を取り付けるために展張するロープのことで、ナイロンやポリエステルなど繊維質ロープや、ワイヤロープなど丈夫なものが用いられ、ロープであれば直径16mm以上、ワイヤロープであれば直径9mm以上のものを使用します。

親綱は昇降移動時に使用する垂直親綱と、高所作業で水平移動する際に使用する水平親綱に分けることができますが、今回は水平親綱をピックアップして解説します。

 

設置方法

①親綱を構造物にフック掛けもしくは直結びで固定する。

②反対側の構造物に親綱緊張器を用いて弛まないように固定する。

 

使用時の注意点1.親綱は2~0.3kN程度の力で弛みのない程度に引っ張って固定する。
親綱に弛みがあると墜落した際に落下する距離が長くなってしまい、低い場所では地上に衝突する可能性が出てしまいます。
2.親綱のスパンは10mまでとし、長くなる場合は途中に親綱支柱を設ける。
親綱は張ることのできる距離が決められています。最大で10mとなっていますが、どの場合でも10mで良いとは限りません。親綱支柱の距離は次のように定められています。親綱支柱を設置した作業床と衝突のおそれのある床面等との垂直距離(H:高さ)に応じて使用することのできる親綱支柱のスパン(L:距離)は、次の式により算出した値以下でなければならない。式)L=4×(H-3)m ※ただし、Hは3.8m以上を確保すること
3.親綱は1スパン1人で使用する。
同じロープを複数人で使用すると誰かが墜落したときに他の作業員も引っ張られて墜落してしまいます。また、通常想定している使い方と異なるため、墜落した際に親綱支柱の変形や折損、ロープの伸びによって本来の親綱の役割を果たせなくなってしまいます。
4.フルハーネス型を使用する場合は親綱の位置は背中のD環よりも上に張る。
D環よりも低い位置にフックをかけると、墜落した際にランヤードが伸びきるまでの距離が長くなってしまうので、できる限り高い位置に親綱を張ってフックをかけるようにしましょう。

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2.安全ブロック(セーフティーブロック)

安全ブロック(セーフティブロック)は高所作業時や梯子、タラップなどの昇降移動時に使用するもので、あらかじめ使用場所の高い位置に取り付けて安全ブロックのフックを使用者の墜落制止用器具のD環に接続することで、万が一使用者が足を踏み外したりして墜落したときにロック機能が作動して落下を阻止します。

安全ブロックのワイヤロープは墜落が阻止されるまでに約700mm程度引き出されるので、はしごの登りはじめなどで墜落すると停止より先に地面に衝突する可能性があることは覚えておいてください。

安全ブロックは異常が見当たらなくても使用開始から3年を経過したら必ず定期分解点検をしなければなりません。分解点検は販売元やその認定工場で行っているので忘れずに実施しましょう。

それでは、安全ブロックの一般的な使い方や注意点を解説していきます。

 

■設置方法

①安全ブロックを取り付ける対象物を確認する。
安全ブロックを構造物に取り付ける場合は対象によってロープやカラビナ、アングルなど対象物の形状によって安全ブロック側のコネクタを交換します。一般的には付属の台付ロープを使用します。

②作業員の頭より高い位置に安全ブロックを設置する。
使用場所の真上か、その直近の強固な構造物に垂直に吊り下げて確実に取り付けます。取り付ける構造物は、墜落阻止時の衝撃に十分耐えるだけの強度が必要です。また、H鋼のように鋭い角のある構造物に取り付ける場合は、当て布を巻き付けた上に取り付けて台付ロープが直接鋭角部に接触しないように保護してください。

③安全ブロックのフックと作業員の墜落制止用器具を接続する。
附属の引き寄せロープを引っ張ってワイヤロープを引き出し、先端のフックを墜落制止用器具のD環に接続します。ハーネス型では胸または背中の環、胴ベルト型では腰のD環に確実に取り付けてください。

 

■使用時の注意点1.作業は安全ブロックの直下で行うこと
安全ブロックから横にずれた位置で斜めにワイヤロープを引っ張った状態で作業をしているときに墜落が発生すると、身体が振り子のように大きく振られながら墜落してしまい、構造物などに激突して重大な事故につながる可能性が高くなります。
2.ゆっくり移動(昇降)すること
速く動くと墜落防止用のロックがかかってしまい、その衝撃でバランスを崩す可能性があるので注意してください。
3.ワイヤロープや引き寄せロープを腕や足の下を通さないこと
移動中や作業中にバランスを崩すおそれがありとても危険です。また、万が一墜落したときに引っかかってしまい大きな事故につながる恐れもあります。
4.ワイヤロープに汚れが付着した時はすぐにふき取ること
安全ブロックの正常な動作を妨げてしまう恐れがあるので、ワイヤロープに汚れが付着した場合はすぐにふき取ってください。
5.ワイヤロープのフックは墜落制止用器具のランヤード先端のフックにかけないこと
安全ブロックのフックは必ず墜落制止用器具のD環に接続してください。ランヤードのフックにかけると墜落した際にランヤードの伸びやショックアブソーバー動作分が加算されて落下距離が長くなってしまいます。

安全帯専門店まもる君では、安全ブロック(セーフティブロック)も取り扱っております!
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3.作業床

別の記事で「安全帯の規格」が改定されたことについて解説しましたが、その中に『柱上作業、高さ2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところではフルハーネス型墜落制止用器具の使用を義務付ける』という内容がありました。

作業床と言われると工事用の足場を連想しますが、ここで言われている作業床に具体的な定義はありません。足場の作業床、機械の点検台など作業のために設けられた床すべてを指しています。また、ビルの屋上や橋梁の床板など平面的な広がりを持つ建築物の一部分であって、その上で労働者が作業することが予定されているものについても作業床になると解釈されています。

明確な定義がされていないので参考までに工事用の足場を見てみましょう。
工事用の仮設足場では作業床は幅が40cm以上なければいけないとされています。最低でも40cm以上が無いと作業がしづらいということでしょう。また、足場を組む際には作業床だけでなく手すりや中さん(中桟)、巾木など他にもたくさんのものを付けなければ作業することができません。これらのことを先ほどの条文に当てはめてみると、『柱上作業、高さ2m以上の箇所であって(幅40cm以上四方の作業場+手すり、中さんなどその他設備を含む足場)を設けることが困難なところではフルハーネス型墜落制止用器具の使用を義務付ける』というふうにとらえることができます。

 

4.ワークポジショニング作業(柱上作業)

ワークポジショニングとは安定した足場のない作業場において身体を預けて両手をフリーの状態にすることを指し、ワークポジショニング用器具は大きく柱上作業用と傾斜面作業用に分類されます。ワークポジショニング用器具はあくまで作業姿勢を保持するために使用するものなので必ず墜落制止用器具と併用しなければなりません。
基本的にはフルハーネス型を併用しますが、作業場所の高さが6.75m以下の場合は、ワークポジショニング用器具の胴ベルトにランヤードを接続して胴ベルト型墜落制止用器具として使用することも可能です。

ここでは柱上作業用(U字吊り)をピックアップして解説していきます。

 

■柱上作業用(U字吊り)の特徴

柱上作業用の一番の特徴は通常の胴ベルト型墜落制止用器具と違いD環のほかに角環というものがあり、この角環に伸縮調節器を取りつけてロープで角環とD環を繋ぐことでU字を作り電柱に身体を預ける構造になっています。

 

装着方法

①角環が身体の左側、D環が右側になるように装着する
ワークポジショニング用器具の補助・胴ベルトは、角環が身体の左側、D環が右側にくるようにして胴ベルト型と同様の手順で装着します。

②角環に伸縮調節器を取り付ける
伸縮調節器は連結フックの外れ止め装置が外側になるようにして角環に取り付け、ベルトの端や作業服が巻き込まれていないか、外れ止め装置が完全に閉じているかを確認してください。

※伸縮調節器にはロープ下側式とロープ上側式があり、ロープ下側を上側式の方法で、ロープ上側式を下側式の方法で角環に取り付けると、間違った掛け方になるので、注意しましょう。伸縮調節器の連結フックの外れ止め装置が外側を向いていれば正しい取り付けになっています。

 

使用時の注意点1.胴ベルトは腰骨の位置で確実に締める
胴ベルトは腰骨にかぶさるように装着してください。締める位置が上や下にずれてしまうとU字吊り作業時に抜け落ちたり、内蔵が圧迫されたりする危険性があります。
2.D環にフックをかけるときはフック開口部が内側を向くようにかける
フック開口部が外側になるように取り付けると外部からの力によって開いてしまいD環から外れる可能性があるので、必ずフック開口部が内側になるようにしましょう。
3.D環にフックがかかったかきちんと目視で確認する
フックをかけたときにベルト押さえや作業服を巻き込んでいることに気が付かず、体重をかけた際にフックが外れてしまったという事例もあるので、フックがきちんとかかっているかは面倒でも目視で確認しましょう。

 

点検方法

ワークポジショニング用器具は胴ベルト型墜落制止用器具と構造がほとんど同じなので、使用前点検や定期点検は胴ベルト型と同様の手順で行い、破棄基準もランヤードのロープと同様の基準で判断します。U字吊りロープは構造物との摩擦で傷みやすいので特に念入りに点検してください。

安全帯専門店まもる君では、柱上作業用ワークポジショニング用器具(柱上用安全帯)も取り扱っております!
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まとめ

作業に用いる設備を4種類紹介しました。冒頭でも解説しましたが、ここで紹介した設備は正しい使い方を知っておかなければ効果がありません。使い方を間違うと大ケガしてしまう可能性もあります。
自分の身を守るために使用する設備なので正しく使用して安全に作業を行うようにしましょう。

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