【墜落制止用器具(安全帯)】Q&A

Q&A

ここでは厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課がまとめた質疑応答集と、墜落制止用器具についてよくある質問をご紹介します。
当サイトの記事内で紹介した内容と重複している部分が含まれているので、回答の詳細は各記事をご覧ください。

 

墜落制止用器具に係る質疑応答集

Q1.

安全帯と墜落制止用器具はどう違うの??
2019年に新しい「墜落制止用器具」の規格ができ、従来の「安全帯」に含まれていたワークポジショニング用の器具である旧規格のU字つり用胴ベルト型安全帯は含まれなくなりました。

Q2.

一本つりの胴ベルト型は高さ6.75mを超える箇所で使用できなくなるの?
胴ベルト型墜落制止用器具(いわゆる、新規格に適合する胴ベルト)は使用できません。
ただし、経過措置により、2019年8月1日以前に製造された安全帯であって、旧規格に適合しているものについては、2022年1月1日までの間、要求性能墜落制止用器具とみなされますので、高さに関わらず使用可能です。

Q3.

U字つりの胴ベルト型は高さ6.75mを超える箇所で使用できなくなるの??
U字つり用胴ベルトについては、ワークポジショニング用の器具として使用することは問題ありませんが、墜落制止用器具には該当しませんので、高さ2m以上の箇所で作業を行う場合、墜落制止用器具(フルハーネス型又は一本つり胴ベルト型(高さ6.75mを超える箇所ではフルハーネス型))との併用が必要です。

Q4.

高さ6.75mを超える箇所での作業と、高さ6.75m以下の箇所での作業が混在するとき、常時フルハーネス型を使っていいの??
問題ありません。大丈夫です。
フルハーネス型は高さによる使用制限はなく、「墜落制止用器具は、フルハーネス型を原則とすること」とされています。
さらに、取付設備の高さや作業者の体重に応じたショックアブソーバのタイプとランヤードの長さ(ロック付き巻取り器を備えるものを含む。)を適切に選択することも必要です。

Q5.

今回の法令改正によって、墜落制止用器具を使用しなければならない作業はどのように変わったの??
2019年2月1日施行の法令改正に伴い、墜落制止用器具(安全帯)の使用義務の範囲が変更されたわけではありません。
これまで「安全帯」の使用を義務付けていた作業について、「安全帯」に代わり「要求性能墜落制止用器具」の使用が義務付けられることとなったものです

Q6.

外国で製造されたフルハーネス型や一本つり胴ベルト型は使用できるの??
新規格に適合しているものについては使用可能です。新規格に適合していないものについても使用できる場合がありますが、新規格に適合するものと同等以上の性能又は効力を有していることにつき、厚生労働省労働基準局長の認定を受け、新規格第10条に基づく適用除外に該当する必要があります。
新規格のどの部分に適合せず、またその部分が新規格と同等以上の性能又は効力を有していることを確認の上、お近くの都道府県労働局にご相談ください。

 


Q7.

高さ2m以上の箇所でフルハーネス型を使っている人は、全員、特別教育を行わなければならないの??

法令で特別教育が義務付けられるのは、「高さが2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業に係る業務」に限られます。

作業床が設けられている箇所においての作業、胴ベルト型墜落制止用器具を用いて行う作業については、特別教育は義務づけられません。

 

 


Q8.

特別教育を受けた者でなければフルハーネス型の使用はできないの?

特別教育を受講されていない方であっても、作業床が設けられた箇所での作業ではフルハーネス型を使用できます。
特別教育の対象作業と、フルハーネス型の使用義務がある作業(高さ6.75mを超える高さ)は、条件が異なります

 


Q9.

高所作業車を用いた作業についても、特別教育を行わなければならないのですか??

高所作業車のバスケット内での作業であれば、作業床があると認められるため特別教育は義務付けられません。
なお、高所作業車(作業床が接地面に対し垂直方向にのみ上昇し又は下降する構造のものを除く。)のバスケット内で作業する場合であっても、高さが6.75mを超える箇所で作業を行う場合には、フルハーネス型墜落制止用器具等の使用が義務付けられます


Q10.

「作業床」とはどのようなものですか??

法令上具体的な定義はありませんが、一般的には、足場の作業床、機械の点検台など作業のために設けられた床を指します。
また、ビルの屋上、橋梁の床板など、水平で平面的な広がりを持った建築物の一部分であって、通常その上で労働者が作業することが予定されているものについても作業床となると考えられます。
具体的な判断は、所轄の労働基準監督署にご相談ください

 


Q11.

「身を乗り出す作業、手すりがない場所や開口部での作業についても特別教育が必要ですか?

一般的に、作業床上での作業であれば特別教育は義務付けられません。
具体的な判断は、所轄の労働基準監督署にご相談ください。なお、高さが2m以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等を設けること又は労働者に墜落制止用器具を使用させること等が義務づけられます

 


Q12.

高さ2m以上の箇所で作業床を設けることが困難なところにおいて、フルハーネス型墜落制止用器具を着用して通行や昇降をするだけの場合、特別教育は必要ですか??

「通行」や「昇降」をするだけの場合、特別教育は必要ありません。


Q13.

「通行」「昇降」の定義はある??
工事の進捗確認、点検なども「通行」「昇降」に含まれますか??

法令上の定義はありませんが、一般的に、「通行」とは、通っていくという意味、「昇降」とは、昇ったり降りたりするという意味であり、それ以外の行為(工事の進捗確認、現場巡視、点検など)は、「通行」や「昇降」にはあたりません。
ただし、昇降を主たる目的として、昇降しながら昇降用の設備(はしご等)の健全性等を確認するような場合は「昇降」に含まれます。

 

 


Q14.

特別教育は、労働者全員が受けなければならないのか?
未受講者は早急な受講が必要?科目の省略はないのか?

一般には、必ずしも全員ではなく、高さが2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業に係る業務に就く者は、特別教育を受講している必要があり、未受講者は受講が必要です。
ただし、一定の経験がある人は、一部の科目の省略が可能です。

 


Q15.

「足場の組立て等作業主任者技能講習」の修了者は、特別教育の科目を省略できる?
また、「とび技能士」などは特別教育の一部省略はできないの?

「足場の組立て等作業主任者技能講習の修了」や「とび技能士」をもって特別教育の一部の科目の省略はできません。


Q16.

 科目省略の要件に、「6か月以上従事した経験」とあるが、この経験は胴ベルト型又はフルハーネス型を用いた作業であれば、どのような作業でもいいの?

高さが2m以上の箇所で作業床を設けることが困難なところにおける作業であれば、作業内容に限定はありませんが、「6か月以上従事した経験」に該当するためには、継続的にその作業に就いていた経験を有する必要があります。

 


Q17.

「6か月以上従事した経験」の証明に、定められた基準はあるの?

一般的には、当該労働者を雇用する(していた)事業者が証明することになると思われます。証明に関して、法令で定められた基準・様式等はありません。


Q18.

「6か月以上従事した経験」の考え方について、特別教育受講時点では6ヶ月の経験がないが、6ヶ月以上の経験がある見込みであるとき、特別教育の一部省略はできるの?

6ヶ月以上の経験を見込み、科目の一部を省略して特別教育を受講いただくことは問題ありません。ただし、経験が足りない場合には、省略した科目の補講が必要となりますので、注意してください。


Q19.

特別教育は、外部の教育機関で受講しなければならないの?

法令では、事業者に、特別教育の実施を義務付けておりますので、事業者が自ら特別教育を実施するのは、当然、差し支えありません。

 


Q20.

特別教育の講師要件はあるの?

特別の資格要件はありませんが、特別教育の科目について十分な知識、経験を有する者でなければなりません。

 


Q21.

特別教育の修了証や書類の保存義務はあるの?

事業者は、特別教育を行ったときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成し、これらを3年間保存しなければなりません。

 


Q22.

修了証の様式はあるの?

ありません。
修了証は特別教育の実施者が自主的に発行しているものです。

 


Q23.

高さを算定する場合の基準点は地上となるか。屋根や足場は基準点となる?

原則として地上(GL)を基準としますが、十分な広さを持つコンクリート床面の上方で高所作業を行う場合など、さらにそこから墜落することが想定できない場合などについては、その高さを基準点とすることができます。 また、マンホールに入る作業など、地下での作業においては、作業場所から墜落し得る地点までの高さが作業時の高さとなります。具体的な判断は、所轄の労働基準監督署にご相談ください。

 

 


Q24.

フルハーネス型を購入する際に補助金があると聞きましたが、どんなもの?

旧規格の機械等(安全帯等)の、新規格の機械等(フルハーネス型墜落制止用器具等)への更新等を促進する目的で、「既存不適合機械等更新支援補助金事業」を設けました。
当該補助金においては、新規格を満たし、かつ、追加の安全措置が2項目以上講じられている機械等が対象となります。当該補助金交付決定前に購入されたものについては当該補助金は交付されませんのでご注意ください。
また、当該補助金は間接補助金であるため、執行団体を通じて交付されます。当該補助金は、事業場の規模や機械等の安全性等を協会内に設置される有識者による審査委員会において審査した上で競争的に交付決定されます(先着順ではありません)。申請すれば必ず補助金が交付されるものではありませんので、ご注意ください。

 

 

よくある質問

Q1.

具体的にフルハーネス型墜落制止用器具特別教育を受講しなければいけない対象業務ってどんなものがあるの?

単にフルハーネスを使っていたというだけでは対象にはなりません。
下に具体例をまとめておくのでご確認ください。

  1. 建築鉄骨や鉄塔の組立、解体または変更作業
  2. 柱上作業(電気、通信柱など)
  3. 木造家屋など低層住宅における作業
  4. 屋根面を作業床とみなされない急勾配(勾配6/10以上)または滑りやすい材料の屋根下地であって、屋根足場を設けることができない屋根上作業
  5. 梁、母屋、桁上、垂木上での作業
  6. 作業床を設けることができない一側足場(抱き足場)での作業
  7. 足場の組立、解体または変更作業において、つり足場の足場板の設置または撤去などの作業や、単管上に足を乗せて作業床の設置または撤去等の作業
  8. 鉄筋コンクリート(RC)造解体作業において、梁上から鉄筋などを切断する作業
  9. スレート屋根上作業で踏み抜きによる墜落防止対策のために、歩み板を設置または撤去する作業
  10. 送電線架線作業
  11. 天井クレーンのホイストに乗って行う点検業務(ガーター歩道上で行うものは対象外)
  12. チェア型ゴンドラで行う作業(デッキ型ゴンドラは対象外)

 

このように作業全体が特別教育の対象になるものもあれば、一部だけが対象作業になる場合もあります。

 


Q2.

安全ロック付のランヤードを使えば、2m程度の高さでもフルハーネスを使えるの?

法令上は使用可能ですが、5m以下の場合は地面に到達する恐れがあります。
安全ロック付であっても墜落時にはランヤードが引き出され、ショックアブソーバの伸びもあるので2m程度の高さでは地面に到達してしまう可能性がかなり高くなります。
この場合は、胴ベルト型の使用もしくは作業床を設けて安全帯を使用しなくても良い作業環境を整えるなどの対策が有効です。

 

 


Q3.

墜落制止用器具は異なるメーカーのものを組み合わせて使用してもいいのか?

墜落制止用器具は全て試験をパスしたものが販売されていますが、試験は同じメーカーのハーネス(または胴ベルト型安全帯)+ランヤードの組み合わせで行われます。異なるメーカーのものを組み合わせて使用して万が一のことがあった場合、安全性能が発揮できないということも考えられるので、必ず同じメーカーで揃えるようにしてください。

 

 


Q4.

ランヤードは2丁掛けが義務なの?

義務ではなく「推奨」です。
フックの掛け替え時に瞬時でも無綱状態をなくすことでより安全性を高めることを考慮すると2丁掛けがおすすめです。

 

 

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